ARCHIVE

ななつ星との出会い

2024.05.27
ななつ星との出会い

みなさま、初めまして。新入社員の野田です。4月にJR九州に入社しました。
このスタッフコラムを通じてみなさまにお話ができることを光栄に思います。
本日は、ななつ星のことを何も知らない私が、

「ななつ星の列車って、こんなにすごい列車なんだ...‼」と感じたことについてみなさまにお話しできればと思っています。

私がまず初めに衝撃を覚えたのは、初めて実際に列車と出会ったときです。
博多駅の構内で立っていると、めったに見ないロイヤルワインレッドの色をした列車が入ってきたので、かっこいい列車だなぁと眺めていました。
そして列車が横を通り過ぎていこうとした、その時です。列車に、列車を眺めている自分が映っていました。この時は言葉を失うほどの衝撃を覚えました。
私は今までいくつもの列車を見てきましたが、鏡のように映るほどきれいに整備されていて、こんなに感動させられる列車は初めて出会いました。
ここに着任してからは、ななつ星は鏡のような美しさだけではないことも知りました。

「7」のエンブレムや列車の顔部分には「鎚絵(つちえ)」の金属加工が施されており、ロイヤルワインレッドの車体にぴったりとはまっています。
外装だけでなく内装にも、「木下木芸」の一切釘などを使わず木材だけで作られる組子や、ろくろの神様と謳われた「清六窯」の工芸品など、数えきれないほどのこだわりが詰まっている列車です。

ななつ星は走り始めて10年となり、多少の傷などはございますが、まだまだ列車の美しさは保たれていると実感しています。

ななつ星のコンセプトは、「新たな人生にめぐり逢う、旅。」です。これは本当に最適なコンセプトだと感じていて、私自身このななつ星と出会って今までにない新たな人生に巡り合うことができたように感じています。将来は私もななつ星に乗って素晴らしい旅をしたいと思っています。

まずはここで過ごす8月までの短い時間ではありますが、お客さまが最高の旅をしていただけるよう尽力していきます!

スタッフ
野田

日本を代表する民藝

2024.05.17
日本を代表する民藝

ここ日田・小鹿田の里も鳥のさえずりとともに初夏の訪れを感じる季節となりました。

ななつ星
in九州の34日(霧島)コースでお世話になっている小鹿田焼ギャラリーの鹿鳴庵。
庵主の佐藤哲也さんは小鹿田焼の魅力を日本・世界に発信されています。

日本を代表する民藝の一つである小鹿田焼。
私が敬愛する陶芸家、ルーシー・リーの友人であるイギリス人陶芸家バーナード・リーチは柳宗悦らと共に日本の民藝運動を推進しました。
彼は
1954年に小鹿田を訪れ「飛び鉋(かんな)」の技法を学んだと言われています。逆に彼はピッチャーの継手のデザインを小鹿田焼の職人に教え、その美しいデザインは今にしっかりと引き継がれています。

飛び鉋の模様

生活に根差した用を追求することで健全な美が備わる民藝。
書家として活動する私は、民藝に触れる度に「美」との向き合い方を考えさせられます。

これからも民藝に出会うために、九州各地に足を運び直接見て感じたいと思います。

小鹿田の里には川が流れ、その水を利用して陶土を挽く唐臼(からうす)の音が響きます。
みなさんも日本の原風景が残る小鹿田の地で素晴らしい民藝に触れてみてはいかがでしょうか。

 

 

スタッフ
野村

旅とハプニング

2024.05.07
旅とハプニング

昨年日本で公開されたトム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』はご覧になられましたか?
私はこの連休期間に配信で楽しみました。
映画の中では「オリエント急行」の車内でミッション:インポッシブルには欠かせないアクションシーンが繰り広げられます。
列車のシーンはノルウェーの鉄道路線で、古い客車をオリエント急行のように装飾して撮影されたようです。
ハリウッド映画のスケールの大きさ、トム・クルーズの本物へのこだわりを感じます。

オリエント急行ではありませんが、ヨーロッパの列車には忘れられない思い出があります。
パリからオルレアンへ行くためにフランスのTGVに乗車した際、車掌さんが切符の検札にまわってきました。
切符を見せると、どうやら私たちはオルレアンを通過する列車に乗っていたようで、ずっと南へくだった駅が次の停車駅だと言われました。
フランス語をかろうじて話す1人が知っている限りの「困っている」ことを表現する単語を並べ、周囲で私と仲間数名が英語と身振り手振り、切なる表情でこの窮地をどうしたらよいものか必死に相談しました。
伝わっているのか伝わっていないのかよくわからないまましばらくすると、車掌さんが向こうからウィンクして「こっち」と呼ぶようなジェスチャーで呼ぶではありませんか。
そうです、私たちはなんとオルレアンで降車させてもらうことが出来たのです!
停車するはずのない駅に列車がとまり「外国人」がポツンと降り立つ姿を、去り行く列車の車窓から乗客たちが不思議そうに見つめていたことは言うまでもありません。
もう20年以上前の話ですが、自分たちの行動も列車を停車させてくれたことも本当にありえない出来事だったと思いますが、「車掌」と「車窓」は今も私の脳裏に浮かぶ旅の記憶です。

ところで、ななつ星を舞台に繰り広げられるアンソロジー小説「Seven Stories星が流れた夜の車窓から」を皆さまご存知でしょうか。
7周年のタイミングで発刊された美しい書籍です。
この中の物語にも時にハプニングがあり、その中で旅人は様々な人と心を通わせ、その旅が忘れえぬ旅となっていく過程が描かれています。

「美しい」と表現したのは内容もしかり、その装丁のこだわりにもあります。
最近では外箱のある書籍は少なくなりましたが、ななつ星車内限定で販売している特装版には外箱があり、これも私が「美しい」と思う所以です。

さあ、今日のななつ星の旅ではどんなことが起きているでしょうか。
その日その時、その瞬間は全てがハプニング。
旅を共にする仲間と共に素敵なハプニングを記憶に刻んでいただけていることを私は願っています。

※写真は2018年イギリスBristol Temple Meads Stationにてブリティシュ・プルマンの車両に遭遇した時のもの。駅も車両もかっこいいですね!

スタッフ
小川