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旅とハプニング

2024.05.07
旅とハプニング

昨年日本で公開されたトム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』はご覧になられましたか?
私はこの連休期間に配信で楽しみました。
映画の中では「オリエント急行」の車内でミッション:インポッシブルには欠かせないアクションシーンが繰り広げられます。
列車のシーンはノルウェーの鉄道路線で、古い客車をオリエント急行のように装飾して撮影されたようです。
ハリウッド映画のスケールの大きさ、トム・クルーズの本物へのこだわりを感じます。

オリエント急行ではありませんが、ヨーロッパの列車には忘れられない思い出があります。
パリからオルレアンへ行くためにフランスのTGVに乗車した際、車掌さんが切符の検札にまわってきました。
切符を見せると、どうやら私たちはオルレアンを通過する列車に乗っていたようで、ずっと南へくだった駅が次の停車駅だと言われました。
フランス語をかろうじて話す1人が知っている限りの「困っている」ことを表現する単語を並べ、周囲で私と仲間数名が英語と身振り手振り、切なる表情でこの窮地をどうしたらよいものか必死に相談しました。
伝わっているのか伝わっていないのかよくわからないまましばらくすると、車掌さんが向こうからウィンクして「こっち」と呼ぶようなジェスチャーで呼ぶではありませんか。
そうです、私たちはなんとオルレアンで降車させてもらうことが出来たのです!
停車するはずのない駅に列車がとまり「外国人」がポツンと降り立つ姿を、去り行く列車の車窓から乗客たちが不思議そうに見つめていたことは言うまでもありません。
もう20年以上前の話ですが、自分たちの行動も列車を停車させてくれたことも本当にありえない出来事だったと思いますが、「車掌」と「車窓」は今も私の脳裏に浮かぶ旅の記憶です。

ところで、ななつ星を舞台に繰り広げられるアンソロジー小説「Seven Stories星が流れた夜の車窓から」を皆さまご存知でしょうか。
7周年のタイミングで発刊された美しい書籍です。
この中の物語にも時にハプニングがあり、その中で旅人は様々な人と心を通わせ、その旅が忘れえぬ旅となっていく過程が描かれています。

「美しい」と表現したのは内容もしかり、その装丁のこだわりにもあります。
最近では外箱のある書籍は少なくなりましたが、ななつ星車内限定で販売している特装版には外箱があり、これも私が「美しい」と思う所以です。

さあ、今日のななつ星の旅ではどんなことが起きているでしょうか。
その日その時、その瞬間は全てがハプニング。
旅を共にする仲間と共に素敵なハプニングを記憶に刻んでいただけていることを私は願っています。

※写真は2018年イギリスBristol Temple Meads Stationにてブリティシュ・プルマンの車両に遭遇した時のもの。駅も車両もかっこいいですね!

スタッフ
小川