深夜のななつ星
ピアノが奏でる華やかな音楽と、
色鮮やかなカクテルに囲まれたバータイムが終わった深夜。
お客さまも楽しかった一日を終えてお休みになられ、
閑静なひと時がななつ星に訪れます。
その間、ななつ星はいくつかの駅に停車しますが、私はこの深夜の駅が好きです。
一日の営業を終え静まり切ったホーム。普段多くの人で賑わうホームとは違い、
なかなか味わうことのない不思議な感覚に包まれます。
そういえば数十年前学生の頃、東ヨーロッパを周った鉄道の旅の際にも、
深夜の駅に停まる度にカーテンを少しだけ開いて
駅の様子を眺めていたことを思い出します。
国境警備隊や駅の売店の準備をする人々、深夜にもかかわらず大きな荷物を抱えて
ベンチに座っている家族など、まるで自分が何かから切り離されて
そこにポツンと存在するような、しかしなぜかドキドキする不思議な高揚感を、
今でもはっきりと覚えています。
もしななつ星で眠れないときは、
駅に停車したらカーテンをそっと少しだけ開いてみてください。
誰もいないホームもなかなか良いものですよ。
- クルー
- 塩島