ななつ星couloir(クロワール)
緑の木々の隙間から射す陽の輝きがだんだんと強くなり、
その心地よさから夏の訪れを感じる頃となりました。
さて、今回は列車の中でも特に私が好きなところ、
「couloir(クロワール)」についてお話ししたいと思います。
couloir(クロワール)とは、フランス語で「廊下」を意味します。
(「ク」を強く発音するのがポイントです!)
ななつ星の客車部分は全部で7車両。
1号車と2号車はラウンジカーとなってますので、ななつ星には
計5本の廊下が存在します。
なぜ私がこれらの廊下好むのか。それは・・・
・各車両で使用している木材の材質が異なり、ななつ星ならではの
深い味わいを醸し出しているから。
・各車両に掛けられている絵画や彫刻が号車ごとに異なり、
まるで美術館にいるような優雅な雰囲気を堪能することができるから。
・廊下の車窓から、九州各地の様々な自然やそこに住む方々の暮らしを
垣間見ることができ、九州に包まれているような
暖かな感覚を味わうことができるから。
と、言い出したらここには書ききれないほどたくさんの理由が出てくるのですが、
中でも一番と言える理由は、
「廊下でお客さまとお会いするのがとても楽しいから」です。
廊下を歩いていると、お部屋から出て廊下で車窓をご覧になられている
お客さまに出会うことがあります。
旅の車窓をお楽しみになられていることもあれば、車窓を見ているのではなく
何かを想いながら佇んでいらっしゃることもあります。
もし車窓をお楽しみになられている様子であれば、私も足を止め、
お客さまとお話させていただくことがあります。
廊下に差し掛かりお客さまがいらっしゃるのが見えたら、
近づくまでの数十秒の間に「何をお話ししようかな?」と考え、
とてもワクワクします。
また、周りに他の方がいらっしゃることも少ないので、
廊下は長く広がったパブリックスペースではなく、
ある種プライベートな雰囲気を持ち、
お客さまとより一層お近づきになれたと思える場合もあるのです。
逆にもし、何かを考え佇まれているようであれば、すれ違う際の
「こんにちは」の一言にたくさんの想いを込めます。
ななつ星はラウンジカーやお部屋だけではありません。
その廊下でも、みなさまに旅を存分に楽しんで頂きたいと思っております。
ななつ星の廊下でみなさまにお会いできる日を、今からとても楽しみに
しております。
- クルー
- 塩島